初めての教育係~歯科衛生士の育て方~
歯科衛生士としての職歴が長くなりさまざまな経験を積むと、新しく雇用される人や学校を卒業したばかりの人の教育係を頼まれることもあるでしょう。
なかには教育係や院長サポートを最初からお願いできる、中堅の歯科衛生士を集めるために「管理者候補」の求人を出している歯科医院もあるくらいです。
今回は、初めて教育係として仕事する上で身につけたい、歯科衛生士の育て方に関する考え方について解説します。
信頼される歯科衛生士になる為には
最初に意識したいのは、「信頼される歯科衛生士」になるために必要な考え方や技術を身につけることです。まず自分自身の行動を振り返りながら、後輩にも伝えられるようにしていきましょう。
技術力を磨く
資格職である歯科衛生士に求められるのは、第一に「技術力」です。技術を磨くため、貪欲に努力し続ける姿勢や自ら情報を求めるハングリー精神を養いましょう。
一方、入職したての新人に対して最初から高い技術力を求める歯科医院は非常に少ないのが現状です。
分からないところは分からないままにせず、素直に医師や先輩歯科衛生士に質問し、教えてもらったことを忠実にする謙虚さを身につけてもらうように指導しましょう。
チームの調整役として働く
歯科医院では経営を考え最終的な責任を負う院長や、資格がなくても勤められる歯科助手、受付事務の人などさまざまな役割の人が働いています。そうした人たちと共に気持ちよく仕事ができるよう、人間関係の潤滑油としての役割も求められます。
笑顔でいること、コミュニケーションを積極的に取ること、仕事がしづらそうな人がいたら自分から声をかけることが大切です。
すぐには難しくとも、「信頼される」歯科衛生士になれるよう、教育していきましょう。
入職3年目までがカギ!
歯科衛生士に限らず、「どんな心づもりで働くか」を決めるのは、入職3年目までと言われています。ただ言われたことだけをして毎月何となく給料をもらえれば十分と考えるのか、患者さまや同僚への配慮を忘れず自分のスキルを磨こうとする働き方をするのか、目指してほしい方向性への舵取りをしてあげましょう。
ただ技術を教えるだけではなく、「なぜ技術を磨くのか」「なぜこのタイミングでこの業務があるのか」を教え、仕事を「点ではなく線で」イメージできるよう伝えれば、自ずと自分で次の仕事を考えられる歯科衛生士に育ちます。
メンタルケアも忘れずに
入職したての新人は、最初やる気に満ち溢れていたのにやがて熱意を失ってしまうことがあります。仕事に関する悩みを抱えてしまい、上手くモチベーションが保てないこともあるでしょう。
そんな時は、教育係が適切なサポートすることが大切です。
1対1で話をする
週に1度、月に2度など、まとまった時間を取って個人ミーティングをするようにしましょう。聞きたかったけど忙しくて聞き逃してしまったこと、今更だけど質問したいこと、言い出しにくくて困っていたことなど、直接仕事に関係ないことでもヒアリングします。
歯科医院の方針、給料や有給などの待遇についてなどすぐに自分で答えられないこともあるかと思いますが、まずは「丁寧なヒアリング」が大切です。その上で、院長や理事に確認・相談の上、お伝えしましょう。
プライベートな話も織り交ぜながら
仕事の話をするのはもちろんですが、新人がラフに話しかけられる存在であるよう、プライベートの話をたまにするのもおすすめです。
趣味、休日の過ごし方、家族や恋人の話など、話題は何でも構いません。
ただし、あまり相手のことを根掘り葉掘り聞いてしまうと不快にさせてしまい、場合によってはパワハラやセクハラだと捉えられてしまいます。まずは聞いても差し支えなさそうな内容から話題にあげたり、自分のことを話したりするなど工夫していきましょう。
まとめ
優秀な教育係になるためには、技術力や仕事の進め方だけではなく、周りに対する気遣いやコミュニケーション能力も欠かせません。
院長に直接言いづらいことでも先輩歯科衛生士であれば言いやすいということもありますので、まずは「気軽に相談できる人」を目指しましょう。